なぜ「部下に嫌われたくない」と感じてしまうのか
背景にある心理
正直、私もビクビクしていました。「注意したら距離を置かれるかも」「嫌な上司って陰で言われたらどうしよう」って。けれど、この感情の裏側には“上司としての役割の変化”があります。管理職になると、どうしても「評価する側」になり、以前のようにフラットに雑談できない瞬間が増えます。その戸惑いが、「嫌われたくない」という防衛反応を強くします。
「評価者」になった戸惑い
資料の修正や優先順位の判断など、つい手を出したくなる場面も。任せるべきか、介入すべきかの線引きが難しく、結果として曖昧な指示や“やさしさ”だけが残りがちです。すると、部下は逆に迷い、相談も減ります。ここで痛感したのは、「任せる」「見守る」「必要なときにだけ口を出す」を意識的に分けること。関係性を良好に保つのは“迎合”ではなく、“役割の明確化”でした。
恐れの矛先を変える
「いま嫌われるかもしれない怖さ」より、「チームの成果が出ない怖さ」を優先する視点に切り替えると、上司の言動がスッと定まります。目指すのは“好かれる人”より“信頼される人”。つらい一言でも、仕事の基準やルールを守るための発言なら、あとから「言ってくれて助かった」と受け取られることが多いのです。私の反省は、“良い人”でいようとして、伝えるべき注意を先送りしていたこと。勇気は必要だけど、その一歩が信頼の土台になります😊
好かれたいあまり陥る落とし穴とNG行動

ありがちな落とし穴
好かれたい気持ちが強すぎると、①注意や是正を避ける、②ルール違反を見て見ぬふり、③その場しのぎの迎合、に転びやすい。短期的には穏便でも、長期的には「基準がブレる」「真面目な人ほど損をする」状態を生みます。私もここでグサッときました…😓
NG行動→起きること
| NG行動 | 起きること |
|---|---|
| 感情的に叱る/大声で詰める | 萎縮・隠蔽・相談減少 |
| マイクロマネジメント | 自律性低下・スピード鈍化 |
| 不公平な評価/ひいき | 不信・離職意向の上昇 |
| ルール違反をスルー | 再発・線引き崩壊 |
| 指摘を先送り | 問題肥大化・手戻り増加 |
「八方美人」はコスト高
誰にでも良い顔をすると、結局は誰も守れません。上司の“やる/やらない”の基準があいまいだと、静かにチームは疲弊します。必要なのは、基準の明文化と一貫性。「ここは会社としてNG」「ここはあなたの裁量」——これを繰り返し言語化しておくと、注意が個人攻撃になりません。少し嫌われても、筋を通す方が結果的に優しいのだと、身にしみました。
信頼される上司が大切にするマインドセット

「任せる・見守る・介入」を切り分ける
上司の仕事は“全部自分でやること”ではありません。タスクは任せ、進捗や品質の基準は共有し、ズレが出たら早めに軌道修正。細部まで口を出すのは簡単ですが、部下の成長機会を奪います。逆に放置もしない。この“適切な負荷”の設計が、信頼関係を厚くします。
基準は状況とともに更新する
メンバーや案件が変われば、必要な基準も変わるもの。だからこそ、上司自身の“自分基準”を固定しないで、定期的に見直すことが大切です。「今回はこのレベルを目指そう」「今回はスピード優先で合格ラインはここ」など、期待値を前もって擦り合わせるだけで、無用な摩擦が減ります。
「嫌われたくない」を卒業する言い換え
私は心の中でこう言い換えています。
- 「嫌われたくない」→「役割を果たす」
- 「注意したくない」→「未来の手戻りを減らす」
- 「厳しくしたくない」→「成果と成長を守る」 この置き換えができると、迷いが減り、言葉がやさしくても芯はブレなくなります。結果、怖さより“安心して働ける”空気が育ちます。
尊敬されるための実践スキルとコミュニケーション
1on1は“聴く8:話す2”
まずは聞く。課題・感情・目標の順に引き出し、「いま何に困っている?」から始めます。アドバイスは最後。SBI(状況→行動→影響)の順でフィードバックすると、人格批判になりません。
期待値の言語化テンプレ
- 目的:誰のために、何のためにやるか
- 成果物:形式・粒度・期限
- 判断基準:品質と優先順位
- 自律の範囲:相談タイミングと委譲レベル これを共有したあとで任せると、監視せずに済み、介入も“合図”で最小限に。
感情の温度管理
叱るときほど声量は上げず、事実ベースで短く。「いまは基準から外れている。ここを○○まで戻そう」と、次の行動を示します。良い行動はその場で認める。公平性は“声のかけ方のバランス”にも表れます。小さな称賛が、注意の受け止めやすさを底上げします。
私がやめた“いい人上司ごっこ”チェックリスト
明日から変えられる具体策
- 指摘は24時間以内に短く行う(SBIで3分以内)
- 「会社としてのNG」「あなたの裁量」を毎週言語化して共有
- 1on1の最初に“いま困っていること”を必ず聞く
- 進捗レビューは“合図の間隔”で管理し、マイクロマネジメントはしない
- 迷ったら「成果を守るほう」を選ぶ——一時の嫌われ役より、長期の信頼💪
最後に上司のぼやき
家庭も職場も、「やさしさ」の解像度を上げるほど楽になります。言いにくいことを言うのは、ほんとうは相手の未来に投資する行為。ビビりながらでも、私はそのやさしさを選びたいです。
ただ、やさしさは“甘やかし”とは別物。ルールを守るための一言や、基準を戻すためのブレーキは、短期的には角が立っても、長期ではお互いを助けます。家庭で子どもに危ないことを注意するのと同じで、職場でも安全と品質を守る声かけは愛だと自分に言い聞かせています。
それでも怖い日はあります。そんなときは、言い方の順番を決めておきます。「事実→ねぎらい→次の一歩」。たとえば「ここが合格ラインから外れているね。ここまで頑張ってくれてありがとう。次はこの粒度でここまで仕上げよう」みたいに、なるべく短く、でも温度は落とさないように。
言った翌日は必ず様子を見るのも私の小さなルール。表情が固いようなら、雑談のついでに「昨日はきつかったよね、ごめんね。でもあなたなら出来るって思ってる」と一言添えるだけで、空気はやわらぎます。フォローは“ご機嫌取り”ではなく、関係のメンテナンス😊
そして、自分を責めすぎないこと。完璧な上司なんていません。私も何度も失敗して、そのたびに「次は24時間以内にフィードバック」「裁量とNGの線を先に伝える」と決めて更新してきました。小さな改善の積み重ねが、チームの安心を作るんだと信じています。
最後に、自分の暮らしも大事に。寝不足と余裕のなさは、言葉のトゲに直結します。よく食べて、よく寝て、たまには好きなお菓子で一息つく。自分の機嫌を自分で取れる人は、他人にも優しくできます。私もまだ道半ばですが、今日も“勇気のあるやさしさ”を選びます。

